ユーザ企業のチャットボットの選び方
私はシステムインテグレータ(=ベンダ側)でチャットボットのセールスをしています。 もし自分がユーザ側であったらどんな視点でソフトの選定をするか、という観点でエントリを書かせて頂きました。 付け焼き刃の知識ですが、もし参考になることがあればうれしいです。
IT市場のチャットボットはだいたい人工無能
チャットボットと呼ばれるものはおおまかに以下2つに分けられます。
- 人工無能型 ・・・基本的には人間が事前に用意した文言を返す。勝手に成長したりはしない。市場に出てるチャットボットはほぼこっち。
- 人工知能(AI)型 ・・・人間らしい自然な返答。研究開発レベル。膨大なデータの学習が必要。 マイクロソフトのりんながこっちに近いかもしれない。
現状では(おそらく今後数年は)ユーザはチャットボットは人工無能であると解釈すべきで、 ベンダーも人工知能(AI)としての過度な期待を持たせず、現実を知ってもらう提案をするほうが お互いに幸せになれそうです。 実際、ユーザ企業がチャットボットを入れるような業務は ヘルプデスクが多いので、実用の面から考えてもルールベースの決まった文言を返す「人工無能型」の方がビジネスの場には適しているとも言えます。
まずは試作してみる
ユーザ企業がチャットボットの作成を検討する際は、どのようなものかを知るためにまずはチャットボットを試作してみるとよいと思います。
おすすめはGoogleのDialogflowです。 無料でしっかりとしたチャットボットを作れます。 私もいくつかの情報からチャットボットの基本を学びましたが、 以下のUdemyの講座が最もわかりやすかったです。 この講座に限らずですが、Udemyの講座はセール時(1,500円前後)とそうでないときの差がとんでもなく大きく、セールは頻繁に開催されます。
ユーザ企業のチャットボットの選び方
誤解を恐れずにいえば IT企業がパッケージ商品として売っているチャットボットソフトウェアは機能面では似たりよったりです。
その中で比較ポイントは以下の4点かと思います。
- 価格
- チャットボットへの学習のノウハウ(SI案件の場合)
- 他のアプリケーションとのAPI連携
- UI
価格
チャットボットの価格は本当にピンきりで 無料~数千万円(SI案件)まで幅広です。 ソフトウェア自体に高価な額を投資すべきではなく、 「無料or安価にソフトウェアを買いユーザ企業内でスモールスタートで思考錯誤してみる」or「コンサル・SIを含めた案件として発注する」 の2択かと個人的には思います。
チャットボットへの学習のノウハウ(SI案件の場合)
一度チャットボットを試作するとよくわかるのですが、 自然な会話を行うチャットボットを作成するためには AIのプログラミングのようなテクニカルスキルではなく、 むしろチャットボットへの学習のノウハウが重要です。 個人的にはこれに強みを持つエンジニア・企業の採用が チャットボット導入の成功につながり易いと思うのですが、 ベンダーがチャットボットへの学習ノウハウをアピールするケースは少ないように思えます。 「チャットボットへの学習のノウハウ」の価値を認知していないユーザ企業が多いため、 ベンダー企業としてもこれをアピールしにくいのかもしれません。 あるいはベンダー企業の営業、広報の担当者がこのことをあまり認知していなのかもしれません。
ユーザ側としては、このようなノウハウがベンダのエンジニアにあるかを問うてみるのがよいと思います。
他のアプリケーションとのAPI連携
他アプリと連携する場合は必須です。
多くのチャットボットがこの機能を有していますが、ないソフトもあります。
UI
特にユーザがソフトウェア買い切りでチャットボットを入手する場合は、メンテナンスのしやすさが重要となりますので、特に管理画面のUIは重要です。ただし、私が知っている限り現在世に出ているチャットボットのソフトはどれもUIがきれいなので、差がつきにくいかもしれません。
まとめ
- ユーザもベンダもチャットボットはAIとしての過度な期待は禁物で、「人工無能」と解釈したほうがよさそう
- まずDialogflowでチャットボットを試作してみるとよい
- ベンダ選定の観点は「価格」「チャットボットへの学習のノウハウ」「API連携」「UI」
以上となります。参考になるとうれしいです。